6月25日、雑誌幹事会主催・勉強会をZoomによるオンラインで開催しました。当日の講演要旨を下記に掲載いたしましたので、是非ご覧ください。
「生活者の潮流と『雑誌コンテンツ』の価値」
中山 不尽子 氏
株式会社 ビデオリサーチ
メディア・コンテンツユニット ユニットマネージャー
コンテンツ・バリュー開発グループグループマネージャー
ひと研究所研究員
はじめに、今回紹介する「ACR/ex」は“人の意識”を包括的に捉えた、統計学的な市場代表性を持つ大規模シングルソース調査データです。商品やサービスの購入理由、価値観・ライフスタイル、閲読率、接触率ログなど実測値だけでは解釈が難しい「意識(気持ち)」「価値観」を把握するためのマーケティング・データです。
コロナ禍を経た今 生活時間とメディア接触の変化について
23年12月の調査結果では、コロナ前(19年)に比べ、特に男性20-49才の起床在宅時間は、在宅ワークの取得が影響し大きく増加しています。自宅内メディア接触時間は1日平均295分でコロナ前と変わらない中、インターネット、コネクテッドTVが増加し、接触するメディアの多様化、細分化がうかがえます。自宅内利用デバイスは、スマートフォンが突出して高いものの、コネクテッドTVの利用率が増加傾向にあり、その所有率はコロナ前の40.3%から、60.9%に大幅に増加しています。
生活行動の変化・生活意識について
有職者における週休2日率は約60%。日曜日・日中の在宅率はコロナ前より少し増加しています。自宅内消費時間は、男性20-49歳で「家事・育児」が増加する一方、女性20-49歳で減少。これは、男性が家事・育児に費やす時間が増えた分、女性が減っているとも言えますが、女性は便利な生活用品を効率よく利用し、家事・育児の時間を短縮しているとも考えられます。その短縮した時間をサイト閲覧や動画視聴に費やしていると思われます。
続いて、24年4-6月速報値の生活意識について、最も関心が高いのは「資産運用」。その他の上位項目では「自分らしさ・自分磨き」「タイパ」「コスパ」の意識が多く見受けられます。個人年収が高い人ほど、資産運用への関心が高い傾向にあり、効率よく資産を増やしたいという、タイパも意識していると考えられます。
雑誌コンテンツ閲読者の特徴
ここまで一般的な生活行動や意識について紹介してきましたが、ここからは雑誌コンテンツ閲読者に焦点を当て、紙雑誌・電子雑誌を1ヶ月に1回以上「閲読する人」と「閲読しない人」の生活意識の違いについて比較していきます。
紙雑誌を月1回以上閲読する人は、「広告」「情報」に対する意識が年齢層問わず高く、「広告を見て関連サイトを確認する」「広告をよく見るほう」「仕事関連の情報収集は欠かさない」の項目において、非閲読者の意識を大きく上回っています。紙雑誌の閲読者が“広告に対して興味関心が高い人”と十分に言えると思います。
電子雑誌を月1回以上閲読する人は、「自分らしさ・自分磨きの意識」について、全体的に非閲読者より高くなっています。特に男女30-40代は電子雑誌を読んでいる世代で非常に感度が高い人が多く、「生活へ他人が踏み込むのは嫌だ」「センスのいいものを身に着けたい」「海外旅行に行ったことがある」「好きなことはとことん追求する」など、多くの項目において非閲読者の意識を上回っています。また、「興味のある商品広告は見る」「情報収集に熱心なほう」「社会の少子高齢化に不安」においても閲読者の意識を上回り、「広告」「情報」「社会」に対する意識が高いことがうかがえます。
雑誌コンテンツの価値
紙雑誌と電子雑誌の閲読者の生活意識について見てきましたが、雑誌コンテンツに集まる“人”の価値、プロフィールを描くことで、メディアの魅力がより一層印象深く伝わると思います。また、ABCレポートでは、紙・電子版の販売読者のほか、読み放題UU数、WebサイトUU数、SNSフォロワー数、ファンコミュニティ数などをオーディエンスレポートとして掲載しています。ABCレポートとともに、ビデオリサーチ・生活者総合調査「ACR/ex」をご活用いただけますと幸いです。
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