フォーカスABCメディア
『ぎゅって』(こどもりびんぐ)
こどもりびんぐが発行する子育て情報誌『ぎゅって』は、同社が発行する『あんふぁん』の姉妹誌として、2017年に保育園児とそのママ・パパ向けに創刊され、今年の4月にABC加盟誌となりました。今回は、事業本部メディア統括部長・植田聡史氏と、『ぎゅって』編集長の岡﨑奈穂子氏に、創刊の経緯や媒体の特性、子育て情報誌ならではの取り組みなどについてお話をうかがいました。(取材:2022年8月)
-『ぎゅって』創刊の経緯や、題号に込められた想いを教えてください。
岡﨑氏:幼稚園で配布する『あんふぁん』のほかに、働くママに向けたメディアに対するニーズの高まりを受けて、保育園配布の『あんふぁんぷらす』を季刊で発行していましたが、読者に非常に好評だったこともあり、2017年に『ぎゅって』としてリニューアルし、発行頻度も増やしました。
『ぎゅって』という題号には、仕事を終えたママやパパが帰宅した時に、“おかえり”と迎えてくれる我が子をまず“ぎゅって”抱きしめる、そんな幸せな時間をイメージしています。また、子供と触れ合う時間を増やすため、家事や仕事などやらなくてはいけないことに割く時間を“ぎゅって”短縮するための情報や、子育ての悩みに寄り添う情報を “ぎゅって” 一冊に凝縮してお届けしたいといった想いも込められています。
-読者には、どのような方法で配布されるのですか?
岡﨑氏:『ぎゅって』が配布される保育園は、親御さんが迎えに来る時間がご家庭により異なるため、園児が家庭に持ち帰るべきものとして、お子さん一人一人の連絡ボックスやバッグに先生が入れるなどして渡してくださるため、確実に親御さんのお手元に届くようになっています。
-『ぎゅって』が想定する読者層について教えてください。
岡﨑氏:創刊当時は、主な読者層に30~40代の共働きで子育て中のママを想定していましたが、最近の読者調査では8割以上のパパが普段から読んでくださっていることが分かりました。これは、コロナ禍の在宅勤務で子供と関わる時間が増えたパパが、誌面に関心を持つようになったことも影響していると思います。誌面上でも「ママ・パパ」や、「ファミリー」という表現にするなど、偏りがないようにしています。
また、『ぎゅって』は、『あんふぁん』より判型(B5変形判)を小さくしていますが、これは働く親御さん向けのライフスタイルに合わせ、通勤時や職場で読む際の持ち運び易さを考慮しています。
―『ぎゅって』の編集方針について教えてください。
岡﨑氏:「保育園ライフを未来のたからものに」をコンセプトに、育児や仕事に追われ、多忙なママ・パパに寄り添い、子育ての悩み解決法や家事の効率化、夫婦の役割分担など、親子が笑顔で暮らすための等身大の情報を発信しています。子どもが小さい時期はほんの一瞬です。それはかけがえのない大切な時間であると同時に、仕事との両立が大変な時期でもあります。期間限定の“今”という時間が、未来のたからものになるように、保育園で配布される『ぎゅって』を通し、共働き家庭の暮らしを応援します。
―読者の反響が大きかった連載記事や、特集記事を教えてください。
岡﨑氏:連載記事では、「共働きファミリーの家計簿診断」や、一日のタイムスケジュールを紹介する「働くママ&パパのリアルライフ」が毎号好評です。これは、普段なかなか垣間見ることができない、よそのご家庭の事情がよく分かり、それが非常に参考になるといった声をいただいています。また、特集記事では「怒りのコントロール術」や、読者からの口コミ情報である家事の時短術など、日々の生活において役立つ特集も人気でした。
また、今年はぎゅって創刊5周年を迎え、その記念号では「見つけようワクワク、楽しもうドキドキ」という特集を組み、コロナ禍でも家にいながら親子で楽しめる料理体験企画を実施し、ママ・パパだけでなくお子さんにも楽しんでいただけました。
―読者の声はどのようにして集めているのですか?
植田氏:『ぎゅって』では、メルマガ会員が1万4千人、その他、読者モニター組織「ぎゅってくらぶ」に約600人、「ぎゅってWeb」には約100人の公式ブロガーが在籍するなど、様々な読者組織を運営しています。そして、読者組織に対するアンケートの実施や、座談会の開催を通じて、読者と密接にコミュニケーションを図りながら、様々な意見や生の声を収集し、誌面やWebコンテンツ制作に活かしています。例えば「保育園の連絡帳に何を書けばよいか分からない」という多くの読者の声をもとに、連絡帳の書き方特集を展開するなど、より身近で共感を得られるような内容を心掛けています。
-広告媒体としての『ぎゅって』の特長は何ですか?
植田氏:『ぎゅって』では、広告主様の情報を生活者目線でお届けするというコンセプトで、ペイドパブリシティ(記事型広告)を中心に取り扱っています。メッセージが広告主様からの一方通行にならないよう、読者に誌面作りに参加してもらい、実生活において商品が使われるリアルなシーンを表現することで、より身近に感じられる広告を常に意識しています。とくに食品や日用雑貨、教育、レジャー関連の広告主様には多くご活用いただいています。また、時短など生活の効率化をテーマにした記事は読者からの興味も高く、家電や生活サービスなどの商材とも相性がとても良いです。
-プロモーション事業や新規事業について教えてください。
植田氏:プロモーション事業は、保育園や園児ファミリーへのサンプリング配布を中心に実施しています。商品が掲載された誌面を配布するタイミングと同時にサンプリングすることで、商品認知やブランドスイッチにおいて高い相乗効果が見込めるなど、誌面でのPRとサンプリングの両方が可能なことが、プロモーション事業の特長です。
またリサーチ事業では、読者であるママ・パパや、保育士などにアンケートを実施し、商材の利用度や満足度などの消費者インサイト調査をしています。調査結果をランキング形式で発表し、読者に支持された商材であることを保証する「認証ロゴ」や調査データを販売しています。
―Web上でのサービス展開や、本誌との連動企画などを教えてください。
植田氏:ウェブサイト「ぎゅってWeb」では、読者ブロガーやママライターなど、読者に近い方に毎日発信してもらうことをコンセプトに、誌面とは異なるオリジナルコンテンツで構成しています。
また、本誌ではペイドパブリシティ、Webではユーザー発信型コンテンツというそれぞれの特性を連動させた広告企画も展開しています。本誌で紹介した商品を、読者ブロガーやインスタグラマーが同時期にレポートしたりと、誌面の転載だけではない双方向の発信にするなど、Webに最適化した形で展開しています。
-デジタルシフトが進む中で、紙メディアの強みはどこにあると考えていますか?
岡崎氏:紙メディアは、Webとは役割が違うと考えています。Web上では自分に関心がある情報を検索するのでその関連情報までしか入手できません。一方『ぎゅって』は、保育園を通して配布するというプッシュ型紙メディアとして、多忙な読者に知ってもらいたい情報を、手渡しで確実に提供できます。それが新たな情報との出会いの場となることに大変意義があると感じています。
植田氏:効率を重視する運用型広告だけでは、対象層へのリーチを広げることが徐々に困難になってきます。しかし、情報をこちらからプッシュできる『ぎゅって』では、商材への認知や興味がない潜在層にも「気づき」を与えて、その後の消費活動にも影響を及ぼすことができます。新たな顧客へアプローチできるということが紙メディアの強みではないでしょうか。
-2020年から、小学館グループの一員として新たに事業を開始されましたが、グループ内での共同企画などはありますか?岡崎氏:小学館と共同で、「できたて!ポンチポンチ」という幼児向けのキャラクターを開発し、『ぎゅって』や『あんふぁん』だけでなく、小学館の幼児誌『めばえ』や『幼稚園』でもそれぞれ年齢に合った内容で連載をしています。「ポンちゃん」という主人公が出演するダンス動画など子ども向けコンテンツの配信や、幼稚園・保育園でのイベントも開催しており、小学館グループのキャラクターとして今後ご期待いただければと思います。
また、Webメディアとなった「Domani」と、「ぎゅってWeb」のターゲット層に共通点が多いこともあり、『ぎゅって』読者が抱えるファッションについての悩みを、Domani編集部が解決してくれる「Domani×ぎゅって」特別企画を行ったりと、小学館のメディアとのコラボ企画も盛んです。
植田氏:広告面でも、全国約100万部を発行する『ぎゅって』、『あんふぁん』と、小学館の『めばえ』、『幼稚園』を活用すると、全国の子育て世代を幅広くカバーできます。それらのメディアをパッケージにして、個々に出稿するよりお得な広告セットプランを販売したり、オリジナルの広告企画を実施するなど、小学館グループとの連携を図っています。
―ABC協会へのご意見・ご要望はありますか?
植田氏:今回、ABC協会加盟誌となったことで、メディアに対するより高い信頼感を得られるのではないかと考えています。こうした発行社の姿勢や媒体価値を、より多くの広告主や広告関係者に認知していただくことができればと思います。また、同業の子育てメディアはライバルであると同時に、フリーペーパー業界を盛り上げる同士でもあります。ABC協会にはその橋渡しをしてもらえればありがたいですね。
[媒体概要]
媒体名:ぎゅって
発行社名:株式会社 こどもりびんぐ
配布エリア:首都圏(埼玉県・千葉県・東京都・神奈川県)
関 西(京都府・大阪府・兵庫県)
創刊年月:2017年5月
発行周期:月刊
判型:B5変形判
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